小集団活動
1.看護師と助手の混合での小集団活動の内容はどのような活動があるのでしょうか
助手が看護ケアの一員とした位置づけになっていますか、助手の看護ケアマニアル・教育システム(クリニカルラダー)はありますか、共同業務は明確になっていますか(助手だけで可能なもの・看護師と行うもの)これらのことが明確になっていれば、チームの看護問題を解決するための小集団活動の一員として、助手を巻き込むことが可能であると考えられます。固定チームナーシング,責任と継続性のある看護のために,第4版,p80看護チームの分け方,p95~共同業務を参照してください。
2.小集団活動の進行状況に対するチームリーダーの介入程度はどのくらいですか
小集団活動の進行状況に関して、チームリーダーの介入は、チームの成熟度やメンバーの力量により異なります。固定チームナーシングは人を育てる看護方式であり、その中核を担うのがチームリーダーです。小集団活動の進捗状況を把握した上でどこまで介入すべきか、チーム会で確認し、さらにリーダー会で相談するのもよいと思います。
3.外国人労働者の固定チームナーシングの受け入れ体制を円滑に行うポイントを教えてください
ペア制を取り入れ、OJTで教育してみてはどうでしょうか。新人の技術チェックリストの活用も効果的ではないでしょうか。文化が違うものの、患者中心の看護の提供に向け、ケースカンファレンスの機会を多く持つことも効果的と考えます。
4.療養病棟の看護体制で一番多いのは何ですか。当院は固定チームナーシングと共同業務の併用で行っていますが、他院はどのように行っていますか
固定チームナーシングにおいて、共同業務や応援体制があります。固定チームナーシング,責任と継続性のある看護のために,第4版 p95~を参照してください。
5.外来と病棟が一元化されている。一元化を生かしたチームナーシングを実践していくために、小集団活動としてどのような活動方法があるのか。主に外来を担うパート看護師と情報共有の時間をもつことが難しいがどうしたらよいか
外来と病棟の一元化については、固定チームナーシング,責任と継続性のある看護ために,第3版,p146病棟と外来の連携を参照してみてください。それぞれの科の特性を踏まえ、病棟と外来で共有すべき情報とはどのようなものか検討し、外来の曜日別の時間の流れを確認してみてください。曜日別に時間軸を用いて確認してみると、業務が集中する時間、そうでない時間(曜日)が見えてきます。それをもとにカンファレンスのできる時間をみつけることができると思います。情報共有の必要性から、時間の捻出を意識してみてください。話し合う際は、何を話し合うのかを具体的に計画をし、頻度はどれくらい必要なのか検討してみてください。
6.年度初めに1年間のスタッフの意向を加味し、固定チームの編成を行い、小集団活動も開始するが、年度途中で予期せぬことが発生し、スタッフの欠員や人事異動により、チーム編成が崩れてしまった場合に、1年間チームは固定という考え方から、どのようにチーム編成しなおすことが良いのか考えを知りたい
原則、1年間固定は基本です。急な欠員や人事異動でチームの力量(日々リーダーの問題など)の偏りなどが生じる場合があります。そのような場合、短期的な欠員であれば、チームを超えた応援体制で乗り切ることは可能だと考えます。長期的な場合には、安全な看護を提供するために、看護管理者を交え、リーダー会で十分な検討をしてみてください。やむを得ない場合、年度途中のチーム移動もあると思います。
7.固定チームナーシングのチーム目標は「患者が〇〇になる」など、患者に起こる良い変化という視点で立てるべきか
目標は「何をいつまでに達成する」と表現します。数値目標など、評価が可能の目標表現もよいと思います。「~できる」という表現は個人の能力を指すので、チーム目標には不適切です。行動につながる具体的な表現になるよう立案してください。固定チームナーシングのチーム目標は、患者に良い変化をもたらすことを基本に、表現も工夫してみてください。
8.他の施設のチーム編成の仕方を知りたい
患者の分け方・スタッフの編成の仕方などは、固定チームナーシング,責任と継続性のある看護のために,第4版を参照してください。
9.チームリーダー・サブリーダーの成功体験を共有したい
ナラティブ交換会などいろいろ行っている施設があると聞きます。有志の会で集まるなど他者の経験からお互いを認め合う場所があると良いと思います。部署を離れてそのような機会が設けられ、やりたい看護(看護観)を語る仲間づくりができると良いと思います。
10.退職や異動で人員調整が必要になったとき、年度の途中でチームを移動することがある。その際、年度の残りの期間中、小集団のチームを移動する必要があるか。
場合によりますが、スタッフがチームを替わった場合は、替わったチームの小集団のグループに入って取り組むと良いと思います。
11.看護チーム分けにおいて、メンバーの経験やキャリアアップを考えたメンバー構成を行うが、看護師個々の経験を加味すると、メンバー編成に偏りが生じる。何を優先し、チーム編成を行うべきか知りたい
「チームで受けもつ患者の特性(急性期、慢性期、処置検査、年齢、性別など)看護度により、チームによってメンバーの人数に差があってもよい。差が大きすぎると夜勤の応援が多くなるため、人数差は2名以内が良い。決定には、各メンバーのキャリアを考慮する。」とあるように、まずは、各メンバーのキャリアを考慮してください。西元勝子/杉野元子/北神洋子:固定チームナーシング責任と継続性のある看護のために,第4版,2019,p80
12.1部署2チームありますが、A・B両方のチームで同じ小集団活動をすることはダメなのでしょうか。
小集団活動のポイントとして、「目標をもって活動する」とあります。やや困難な課題・目標を設立して1年間で達成するため、2チームあれば2つの目標が1年で達成できることになります。各チームで看護問題は違うはずです。患者分けは患者視点で行われているか、看護問題が違う患者が1つのチームに混在していないかを確認し、看護問題別に各チームで違う目標設定をしてください。
13.外来は診察終了後の時間は雑務が多いし、時短職員が多く活動の進め方が難しい。活動を活発に行うためにどのように工夫をしていますか。外来では、小集団でどのように工夫をしていますか。パート勤務・時短職員が多い部署ではどのような活動を行っていますか
「外来の固定チームナーシングでは、日々変化する現状に対応できる応援体制づくりが重要である。」「各外来の診療科の処置の種類と数、診療科の位置、診療科間の関連性,看護職員のキャリアと人数などの現状を分析してチーム分けする必要がある。」とあります。まずは外来の現状分析を行い、パート・時短職員の参加が可能な時間の工夫、目標設定の検討をしてみてください。西元勝子/杉野元子/北神洋子:固定チームナーシング責任と継続性のある看護のために,第4版,2019,p154~161
14.師長・主任を含め10人に満たない部署を2チームに分けて活動することは難しい。手術室と中材と兼務で、看護師6人、補助者2人です。各業務に全員で関わっています。メンバーからは、1チームで2集団でもよいのではないかという意見もあります。少人数をチーム分けするときのコツ、考え方、スタッフへのわかりやすい説明の仕方など教えてください。
「小集団活動は対面コミュニケーションが可能な2~10人くらいの集団であり、成果がでる活動は3~5人が適当だといえる。」看護師6人と補助者2人の計8人なので、4人ずつ、2グループでもよいかと思われます。手術室と中材では解決すべく問題が異なるので、それぞれ問題に優先順位をつけ、活動に繋がるとよいのではないかと思います。西元勝子/杉野元子/北神洋子:固定チームナーシング責任と継続性のある看護のために,第4版,2019,p12
15.看護師が定員割れで特に病棟は時間外勤務が多い。スタッフか毎日の看護を実践することで精いっぱいで疲れている。小集団活動が余分な仕事のように思えると拒否的な意見が聞かれる。そのようなことはありますか。スタッフに前向きな活動をしてもらうために、どのような働きかけをしたらよいでしょうか
「固定チームナーシングという看護方式は看護職がリーダシップをとり、日々の活性化が患者中心の質の高い結果を出す。固定チームナーシングの基本理論はチーム活動イコール小集団活動である。」「固定チームナーシングは、1人1人のナースのやりたい看護をチームで支えるシステムであるから、チームメンバーの能力差(臨床経験、人生経験、教育背景の違いなどのすべて)を認めるところから出発するのが基本である。計画のたてられないナースからカンファレンスで情報を引き出し、計画立案し、その人のやりたいことを継続していけるように支援するなど、1人1人の思いを大切にする、という精神や行動が基本である。」とあるように、少集団活動は特別ではなく、チームの看護問題を解決する1手段です。日々当たり前に行っている看護が、小集団活動に繋がっていると思います。チーム毎の看護問題を明確にすることで、患者視点の活動に繋がっていることを伝えてあげてください。西元勝子/杉野元子/北神洋子:固定チームナーシング責任と継続性のある看護のために,第4版,2019,第2版序文p15
応援体制
16..外来と病棟の応援体制について。外来へ行きたくない。スタッフのモチベーションが下がる。外来は他部署の感覚。処置が多く応援の看護師を特定できない
「臨床現場で患者のニーズに応えていくためには、どんなときでも応援のできる体制をつくり、応援に行った所で役割行動のできる人材育成が必要になる。」とあるように、応援業務の明確化をはかることが重要です。応援体制づくりに必要な5項目についても西元勝子,改訂版固定チームナーシング用語集,改訂版,2016,p78に記載がありますので参照してください。
17.IT化が進み、情報はすべて電子カルテでとれる時代です。その上で紙ベースのチームワークシートが必要ですか
紙ベースでなくてもよいと思います。電子カルテ上で紙ベースのチームワークシートが閲覧できればよいのではないでしょうか。チームワークシートを作成する目的がずれていなければ紙に拘らなくてもよいと思います。
業務改善
18.日々の業務が終わらない。混合病棟(泌尿器・口外・耳鼻科・小児)49床。手術が多く入退院が多い。医師の指示が夕方から多い。チームは3チーム制(重症13床・ADL低下14床・小児16床)PNS(新人とペア・時短とペア)を組んでいる。チームの中で業務を抱える。メンバーで業務を抱える問題がある。リーダーがメンバーの進捗状況まで見られる状況ではない
「日々リーダーの役割と業務チェックシート」を活用し、日々リーダー業務を明確にしてみてください。予定入院・手術件数だけでなく具体的な業務を洗い出し、チーム間で協力体制、業務調整を図っていけると良いと思います。西元勝子,改訂版固定チームナーシング用語集,改訂版,2016,付表2
19.チームリーダーを受けてもらえない、やりがいが持てない。46床2チーム制。部屋分けは均等。師長も日々リーダーを行い、受け持ち患者を持つ状況で、管理どころではない。看護師の疲弊からストレス、モチベーションの低下へつながっている。OJTが行き届かず、チームリーダーを受けたがらない
「臨床看護活動でやりがいとなるのは、受け持ち患者の看護問題に良い変化を求めて関わり、成果を実感したときである。看護問題の解決にむけて、看護・介護の領域で可能なケアを計画して、仲間とともに問題解決の介入を継続して行う。」「患者の看護問題解決を年間目標に設定して小集団活動で達成し、患者の良い変化を実感したとき、臨床ナースは患者・家族の期待に応えられ、やりがいをもてる。」とあります。現状分析を行い、チーム分けの再検討、年間目標の設定を見直してみてはどうでしょうか。チームリーダーへは、チームリーダーを任命する上での動機づけを行い、固定チームナーシングの実践にむけて、日頃からリーダーと対話を多くもつと良いと思います。西元勝子,改訂版固定チームナーシング用語集,改訂版,2016,p23~25